ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
軽くメイクも直したあと、戻ろうと廊下を歩いていたとき、ふとどこからか人の声がした。一階で談笑している人たちではなく、もっと近くから聞こえる。
歩くスピードを落として耳を澄ます。どうやら、障子やガラスがない洋風の格子引き戸で仕切られている一室の中から、声が漏れてきているようだ。
「事実婚状態といえ、まだ大々的に婚約発表はしていないんだな、朝羽くんたちは。なら、まだ間に合うか」
意味深な言葉がしっかりと耳に届き、私は思わず足を止めた。
この声、一条社長? 私たちのことを話しているの?
格子の間からそっと中を覗いてみると、書斎らしきそこにお義父様もいるのがわかる。いつの間にか、ふたりは皆の輪から抜け出していたらしい。
一呼吸置いて、意味を飲み込めないといった調子のお義父様の声が響く。
「間に合う、と言いますと?」
「その婚約は破棄して、うちの娘と結婚させるのはどうだ?」
続いて聞こえてきたのは、一条社長のありえない提案。声を上げてしまいそうになり、咄嗟に口を手で塞ぎ、戸の横の壁に隠れる。
私と朝羽さんを別れさせて、娘と……朱華さんと結婚させるっていうの!?
歩くスピードを落として耳を澄ます。どうやら、障子やガラスがない洋風の格子引き戸で仕切られている一室の中から、声が漏れてきているようだ。
「事実婚状態といえ、まだ大々的に婚約発表はしていないんだな、朝羽くんたちは。なら、まだ間に合うか」
意味深な言葉がしっかりと耳に届き、私は思わず足を止めた。
この声、一条社長? 私たちのことを話しているの?
格子の間からそっと中を覗いてみると、書斎らしきそこにお義父様もいるのがわかる。いつの間にか、ふたりは皆の輪から抜け出していたらしい。
一呼吸置いて、意味を飲み込めないといった調子のお義父様の声が響く。
「間に合う、と言いますと?」
「その婚約は破棄して、うちの娘と結婚させるのはどうだ?」
続いて聞こえてきたのは、一条社長のありえない提案。声を上げてしまいそうになり、咄嗟に口を手で塞ぎ、戸の横の壁に隠れる。
私と朝羽さんを別れさせて、娘と……朱華さんと結婚させるっていうの!?