彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





愛しい彼がいるフェリチータへ駆け込む。



「瑞希お兄ちゃーん!お話があります!!」

「なんだ?どうした、凛?」



キッチンから顔をのぞかせながら言う好きな人。

いるのはどうやら瑞希お兄ちゃんだけのようだ。

何も知らない彼は、笑顔で私に話しかけてくる。



「宿題が進まなくて、仲間割れになったか~?」

「違いますよ!バラさんが・・・」

「ああ、また爪楊枝ライターでつかまりそうになったのか~?」

「違いますって!その・・・今僕達が集会をしても、バラさんは関われないような事態になっているそうなんですよ!」

「なに?」



それで、カップにコーヒーを注いでいた瑞希お兄ちゃんの手が止まる。



「どういうことだ?」

「それが・・・MESSIAHという半グレから目を離せないそうなんです!」

「MESSIAH?」



それで瑞希お兄ちゃんの表情が曇る。



「その話、どこで聞いた?誰から聞いたんだ?」

「それがバラさん・・・・――――――――!?」



から聞いた・・・と言いかけて口を閉じる。

菅原凛として耳にした話を、伝えるわけにはいかない。

だから、臨機応変に対応した。



「バ・・・・バラさん、が・・・・そう話していると噂で聞きまして・・・」

「ちっ!もう噂になってんのか?」

「ご存じだったんですか?」

「まぁな。」



短く答えると、不機嫌そうに彼は言った。



「バラさんの心配してんのか?」

「いえ、僕はちーちゃんのことが・・・」

「幡随院?」

「はい。ちーちゃんを巻き込んだ方が、解決が早いと若いおまわりさんとかが言って・・・いるらしいです!バラさんの周りの人が・・・」

「・・・なるほど。」



私の説明に、目を細めながらうなずく瑞希お兄ちゃん。




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