明日死ぬ僕と100年後の君

だから頻繁にはひいばあをお風呂に入れてあげることが出来ない。

週2回、訪問介護のヘルパーさんにお願いして入浴を手伝ってもらっている。

こればかりは、おばあちゃんも他人の手を借りることに文句を言わなかった。


お風呂に入れない日は、温かいタオルでひいばあの身体を拭いてあげている。

それだけでも結構な重労働だ。

時間がかかるとひいばあの身体が冷え、負担にもなる。

丁寧に、かつ手早く済まさなければならない。


鞄を置いて介護ベッドの脇に立ち、ひいばあ肩からずり落ちていたバスタオルをかけ直す。

すっかりやせ細ったひいばあの身体。

骨と皮だけのそれに、自分の未来を重ねて見てしまう。


おばあちゃんがひいばあの身体を拭くのを手伝いながら、わたしは今日あったことをぽつぽつと話した。

ペナルティでボランティアをしていることは家族に秘密にしていたので、学校の課外授業の一環で施設に行ったことにする。


そこでの職員の態度は、人を人として見ていないようなものだったこと。

担当したおばあさんが「助けて」と呟いたこと。

そこが特別ひどいわけではなく、そういう施設は珍しくないらしいことを、まとまらない気持ちのまま話した。

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