明日死ぬ僕と100年後の君

お母さんは仲の悪いおばあちゃんの、老後の面倒を見る気はあるんだろうか。

わたしも年をとったら、誰かに怒鳴られながら、日々肩身の狭い思いをして生きなくちゃいけなくなるんだろうか。



「……ひいばあ、つらくない?」


しわしわで骨ばっているけど温かい、小さな手を握って問いかける。

もう何度も、こうしてふたりきりの時に問いかけている。


でもひいばあから返ってくる答えは、いつも同じ。



「お腹すいたぁ」



この返事を聞くといつもちょっと笑ってしまうけど、すぐに気持ちが沈む。

ひいばあが「つらい」と答えた時、わたしはどうするんだろう。


この狭くて古い家は、わたしにとって人生の縮図だ。


どうして生きているんだろう。

どうして生きなきゃいけないんだろう。


生まれることは、参加したくもない耐久レースに、問答無用で放り込まれるみたいなものだ。

未来に希望なんて持てない。生きがいなんて幻想だ。



わたしは生きていくことに、17歳にして疲れていた。




< 35 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop