エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「おはようございます」

「あ、冴草さん。おはよう」

事務所に出勤すれば私の胸のモヤモヤや体調も関係無しに多忙な業務が待っているが、今の私には余計な雑念をシャットアウト出来ていいのかもしれない。

「あ、冴草さん。第一相談室にお茶出ししてもらえる?東條先生のとこ。七瀬様が相談にいらしてるから。担当の山川さん、さっきから電話対応中でなかなか手が空きそうにないから悪いけど宜しく」

「あ、はい。分かりました」

着いて早々、先輩事務員にそう言われ私は席を立った。どうやら今日は七瀬さんが相談に来る日だったらしいが、今日、私は東條先生の担当ではないのでそれを把握していなかった。

キョロキョロと辺りを見回しても蒼弥くんの姿が見えない事から今日はどこかに預けてきたらしいことを悟りながら、給湯室でお茶の準備をし出した。

ふたり分のお茶の準備をしてトレイに載せて相談室に向かう最中、何故か緊張感に襲われ始めて手が震えてる。私はこんなにも何を意識しているのだろうか?

気持ちを落ち着かせようとスーハーと深呼吸をして相談室へ足を進め、部屋のドアをノックしようとしたそのとき。
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