エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
時刻は十九時過ぎ。
その日の仕事を終えた私は最寄り駅へと向けて歩き出したが、その足取りは重い。相談室のあの会話を聞いてから仕事が全然手に付かなかった。
はぁーっとため息をつけば白い息が儚く消えていく。寒さが一段と強くなる一方、街は近づくクリスマスシーズンに向けてキラキラと輝くイルミネーションやツリーで華やかに彩られていて。私の思いだけがその場に置いてけぼりを食っているみたいで虚しさが募る。
ふと携帯を手に取れば、
【仕事お疲れ様。体調は大丈夫か? 今、実家にいる。今日は帰りが遅くなりそうだから先に寝ていてくれ。なるべく早く帰るようにはするから】
聖さんからそんなメッセージが入っていた。
「なんか今日は帰りたくないな」
聖さんの前で普通にできる自信がない。そう思うととてもあの場所に帰る気にはなれなくて、いっそのこと今日は凛華の家に泊めてもらおうと思い電話をかけようとしたそのとき。
「……紗凪さん?」
前方からしたその声に私の視線はそちらへと動いた。
「……っ⁉︎」
その人物を捉えた瞬間、反射的に怯んでしまった。
「やっぱり紗凪さんだ。今仕事の帰りですか? こんなところで会うなんて奇遇ですね」
だけど私とは対照的にその人物は楽しげな笑みを浮かべながら私の方へとゆっくりと近づいてくる。
その日の仕事を終えた私は最寄り駅へと向けて歩き出したが、その足取りは重い。相談室のあの会話を聞いてから仕事が全然手に付かなかった。
はぁーっとため息をつけば白い息が儚く消えていく。寒さが一段と強くなる一方、街は近づくクリスマスシーズンに向けてキラキラと輝くイルミネーションやツリーで華やかに彩られていて。私の思いだけがその場に置いてけぼりを食っているみたいで虚しさが募る。
ふと携帯を手に取れば、
【仕事お疲れ様。体調は大丈夫か? 今、実家にいる。今日は帰りが遅くなりそうだから先に寝ていてくれ。なるべく早く帰るようにはするから】
聖さんからそんなメッセージが入っていた。
「なんか今日は帰りたくないな」
聖さんの前で普通にできる自信がない。そう思うととてもあの場所に帰る気にはなれなくて、いっそのこと今日は凛華の家に泊めてもらおうと思い電話をかけようとしたそのとき。
「……紗凪さん?」
前方からしたその声に私の視線はそちらへと動いた。
「……っ⁉︎」
その人物を捉えた瞬間、反射的に怯んでしまった。
「やっぱり紗凪さんだ。今仕事の帰りですか? こんなところで会うなんて奇遇ですね」
だけど私とは対照的にその人物は楽しげな笑みを浮かべながら私の方へとゆっくりと近づいてくる。