エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
それからすぐに凛華や周りのみんなに挨拶をして、送ると言い出した京極さんを強引に振り切ってその場所を脱出した。

無事にお店を出て、心なしか新鮮に感じる空気に私は自然と頰を緩ませた。

そしてタクシーでも捕まえて家路に着こうかと表通りに出ようとしたそのとき。

「ねぇ、お姉さん1人? これから一緒に飲まない?」

「……っ⁉︎」

私にそう声を掛けてきたのは香水の匂いがやけに鼻につく明らかにチャラそうな男で、これは俗に言うナンパって奴に違いない。

「急いでいるのですみません」

こういうのは足を止めてしまったら終わりだと経験上学んだ。だから私は彼に目を暮れる事もなくスタスタと歩き続ける。

「いいじゃん? ちょっとだけさ?」

それなのに一向にその男は引くことがない。

「ちょっと、何するの!」

それどころか私の腕を取り私の足を止める始末でそのあまりの強引さにヤバいと思って思わず眉を顰めたそのとき。
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