エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「東條さん! いったいどういうつもりなんですか? いったい何を考えて……」

「さっきまでとは違ってずいぶん喋るじゃないか」

東條さんに手を引かれながら実家の敷地内にある酒蔵の前へと半ば強引に連れて来られた。

「分からない事だらけだし。そもそもこの見合い話だっていきなり聞かされて……」

「あの驚き様は相手が俺だと知らなかったんだろう?」

東條さんがふっと笑い、私の手を解放して歩みを止めた。

「知っていたら見合い話なんて受け……」

「受けなかった?」

「……それは」

思わず、言葉に詰まった。お見合いを受けた理由は実家の家業が傾き、その融資を受けるためであり、東條さんがどうだとか本当は関係がない事。
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