エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
美玲さんに手を引かれ店内に足を進めた私の目に飛び込んできたのはお店の名に因んだ赤い薔薇を彷彿させる真紅の絨毯と頭上に煌めく大きなシャンデリア。

そしてそのシャンデリアの光に照らされて浮かび上がる白とグレーのコントラストが美しいダマスク織の気品のある壁とカーテン。

カブリオールレッグの家具で揃えられたアンティークスタイルの店内はとてもクラシカルな雰囲気が漂っていて真っ白なテーブルクロスの上には紅白の薔薇のフラワーアレンジメントが飾られている。

「紗凪さん、久しぶりだね。君を聖の嫁として東條家に迎えることができて非常に嬉しく思うよ。これから聖のことを宜しく頼む」

「こちらこそ至らないところが多々あるかと思いますが精一杯、聖さんを支えていきたいと思いますので宜しくお願い致します」

「私も嬉しいわ。紗凪さん、ワンピース着て下さったのね。とてもお似合いよ」

「素敵なワンピースをありがとうございます。大切に着させていただきます」

店内奥の個室に通され、中に入ると聖さんのお父さんとお母さんが迎えて下さり、私はご両親に向かって深々と頭を下げた。

そして私たちはギャルソンの案内の下、それぞれ席へ着いた。美玲さんの怒涛の質問が続く中、弟さんの姿が見えず、チラッと隣に座る聖さんに目をやったそのとき。
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