綺麗なブルーを描けません
何だか、腑に落ちないながら、その場所についた。

新しい、大きな家。

「行ってらっしゃい」

少し手前で、放り出される。

「……大事な友達なんだろ?もし、本当に困ってるんなら助けてあげなよ。オレ。この辺にいるから、困ったことになったら、呼んで?」

「…分かった」

「何だろう。エマって冷たいな。ここは、オレが天秤にかけられながらも、柊の方が絶対に重い状況だから、オレのことなんかかなぐり捨てて柊助けに行く、くらいの気迫が欲しいとこだと思うよ」

「そうかな」

「うん。…そっちで待ってる」

あたしは、柚葉さんが移動していくのを見送りながら、その家の門をくぐる。

白い門。

その向こう側に、ドアがある。

インターフォンを押すと、

返事もなく、ドアが開いた。

「いらっしゃい」

ニコやかな、お兄さんが、出迎えてくれる。

あたしは、怪訝に彼を見て、

「あの…、柊くんいるんですよね?」

「もちろん。入って。待ってるから」

待って、るんだ。

どういう状況で?


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