綺麗なブルーを描けません
「あの、別に責めてないから。訊かれたから答えただけで」

「…うん…」

うん、もう、止めよう。言わない。

「…どこ行くんですか?」

「ちょっとね」

「用事は…終わったんですか?」

「これからなんだけど、その前にちょっと話がしたかったんだ」

何となく、怖くなって、黙る。

「オレ、こっちに来て、友達の会社を手伝う…って言ってたんだけど」

「え、来られなくなったんですか?」

「う…ん。そうじゃないんだけどね。何だかいまいち乗り気になれなくて。手伝うくらいはいいけど、自分の生活まるまるかけてやるのもどうなんだろうって思い直してしまって」

「…」

柚葉さんはこっちを見て笑う。

ああ、久しぶりの柚葉さんの笑顔。

こっちの顔も緩んでしまう。

「不安しかないからさ、そっちはちょっと手伝うだけにしといて、本業は、今の仕事を続けることにしたんだよ」

ああ…

それって、やっぱり、こっちには来られない…

一瞬で沈んでしまう。

「ちゃんと聞いてね。こっちにも今の会社の支店があるんだよ。そこで働いてた人が急に辞めちゃって。オレはその代わりにこっちの支店に来られることになったんだ」

「えっ…」
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