綺麗なブルーを描けません
「…エマ?」
そーって柚葉さんはあたしから離れて、あたしを覗き込む。
「大丈夫?」
大丈夫、じゃ、ないかな。
全くこのヒトは、あたしの想いをナメてるな。
自分の反応で窒息しそうだ。
と、急にインターフォンが鳴り響いた。
「柊かな」
「え?」
「そろそろ着く頃だから。
…エマが帰る頃に、ちょうどあの場所に居られたのって、偶然じゃないよ。
柊に密告してもらってた。もうじき、エマが会社出るよって」
言いながら、そぉっとあたしから手を離すと、ドアのほうへ行く。
あたしは、後ろの壁に、ヘタる。
背中を預けて、そのまま、ズルっと座り込む。
まだ、柚葉さんが、すぐそばに居る感覚が抜けないので、頭を横に振る。
「いらっしゃい」
声が聞こえて少しして、柊くんが現われる。
あたしは、まだ、立てそうにないので座ったまま、二人を見る。
「わあ、ここは、こんな部屋あるんだ」
柊くんは言って、すぐそばの柚葉さんを見る。
「…逃げられました?」
小さな声で。