綺麗なブルーを描けません
 それから、柊くんは喋り出す。

「兄はね、オレに嫌な思いをさせるためなら、何だってやるんだよ。自分は何でも持ってるくせに、オレが持ってるものは取り上げて自分のものにして、壊さないと気に入らない」

勝手に、子供のころの情景が脳裏に浮かんでしまう。

大事にしてるものを、取り上げて壊す…

そう言われてみれば、柊くんは、物にも人にも、あまり執着がないような気がする。

それって、執着すれば、壊されたとき辛いから。

結婚する前に、彼女がいた話なんて聞いたことがない。

部屋にも、車の中にも、物があまりない。

それって、そういうトラウマのせいなのかもしれない。

< 71 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop