これはきっと恋じゃない。





筆談だとうまく会話できるから不思議だなあ




『どうやって運んだの?』



『抱っこ』



『重かったね』



『よゆー』




ノート上ではこんなにスラスラ会話が続く。




それがつい楽しくて私たちは夢中で話した。




隣り合ったノートに交互に言葉が増えていく。




このノートの上では私たちはきっと昔と変わらない距離にいる。






授業が終わる時には、消すのが大変なくらいに沢山の言葉でノートが埋め尽くされていた。




号令がかかると私たちはそれを隠すようにノートを閉じて机の中にしまう。




さっきまでの事が嘘のようにお互い見向きもしない。




授業中に話してた事自体を隠すみたいにね






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