これはきっと恋じゃない。
「あ、ありがと…」
今度は足元を確認しながら、ちゃんと立つ。
力強く、ぐっと引き戻される感覚がまだ残っている。
…なんか、言い表せない不思議な感覚が胸の中を覆っている。
骨ばった、大きな手…
転びかけた私を支えられる力強さ…
…なんだろう、この感覚
うまく言葉では言い表せないのだけれど、どうしてかちょっと寂しいような切ないような気持になった。
「ん…」
不愛想にそう言って、パッと私の腕から手を離す。
つかまれていた箇所が、ちょっと熱いような気がする。