天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「天ヶ瀬くんだって……わたしじゃなくて唯乃さん選んだくせに……っ。あのときわたしすごいショックで……」


まだわたしが話している途中なのに
肩を抱き寄せられて、天ヶ瀬くんの匂いに包み込まれた。

胸がキュッと縮まって、やっぱりこんな感覚になるのは……天ヶ瀬くんだけなんだって思い知らされてるみたい。



「……あれは、ももに悪かったなって思った。唯乃のことは昔いろいろあったから」


「……傷、のこと…?」


「……何、唯乃から聞いた?」

「うん……いろいろと」


それから天ヶ瀬くんの口から全てを聞いた。

だいたい唯乃さんから聞いたことばかりだった。

昔、唯乃さんと付き合っていて、傷のこともあって、最初は償いの気持ちでそばにいたこと。


だけど、そばにいるうちに唯乃さんの魅力に惹かれて好きになったこと。

< 250 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop