天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「天ヶ瀬くんだって……わたしじゃなくて唯乃さん選んだくせに……っ。あのときわたしすごいショックで……」
まだわたしが話している途中なのに
肩を抱き寄せられて、天ヶ瀬くんの匂いに包み込まれた。
胸がキュッと縮まって、やっぱりこんな感覚になるのは……天ヶ瀬くんだけなんだって思い知らされてるみたい。
「……あれは、ももに悪かったなって思った。唯乃のことは昔いろいろあったから」
「……傷、のこと…?」
「……何、唯乃から聞いた?」
「うん……いろいろと」
それから天ヶ瀬くんの口から全てを聞いた。
だいたい唯乃さんから聞いたことばかりだった。
昔、唯乃さんと付き合っていて、傷のこともあって、最初は償いの気持ちでそばにいたこと。
だけど、そばにいるうちに唯乃さんの魅力に惹かれて好きになったこと。