天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
中学3年の春休み、突然唯乃さんが留学して、連絡が全く取れなくなったこと。
それをきっかけに、誰か1人のそばにずっといることが苦痛に感じ始めてしまい、裏切られてしまったことで人を信じたくなくなってしまったこと。
だから、彼女ができてもすぐに別れたり、自分から追いかけることもしなくて、また次の彼女を作っての繰り返し。
唯乃さんの傷のことで、天ヶ瀬くんは自分がずっとそばにいなきゃいけないんだと、そばにいると決めたのにも関わらず、簡単に自分の元を離れた唯乃さんを許さなかった過去もあったと話してくれた。
「どうせ、自分が大切に想っていても、いつかいなくなるなら、そんな存在作らなきゃいーんだって思ってたから」
何も知らなくて、初めて天ヶ瀬くんの口から全てを聞いて、視界がゆらゆら涙で揺れ始める。
「それなのに今さら戻ってきて、またそばにいてほしいとか勝手だなって思った」
「…………」