天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



もう、とっくに好きになってるくせに。


どうにか、愁桃に上手く言ってこの場を乗り切ろうと口を開こうとすれば。


「俺の彼女になんか用?」


それを遮るように、自然と耳に入ってきた声と


それと同時に、身体の重心が後ろにいって、甘いムスクの香りに包まれた。


「天ヶ瀬……くん」

「おはよ、もも」


っ!?ももなんて、昨日は呼んでくれなかったくせに。

不意打ちに呼ぶのは反則……っ。


「お前……っ!」


すぐさま、愁桃が天ヶ瀬くんを睨みつけて、肩を掴んだ。


「なーに?」

「遊びならやめろよ」


「は?何が遊びなわけ?」


「とぼけんなよ。もものことだよ。どうせ遊びだろ!だったら……」


再び、愁桃がわたしの腕を掴んだと思ったら


「本気だって言ったらどーなの?」

「は……?」

「え……?」


あまりの衝撃的で、愁桃と一緒に声を出してしまった。

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