守りたい人【完】(番外編完)

「だ、誰か……」


震える声は、あまりにも小さくて雨の音に消されていく。

もう一度大きく息を吸って声を出すが、雷の音にかき消されていく。


どうしよう。

怖い。

誰か。

助けてっ。


恐怖で我を忘れたかのように、痛む足を抑えて必死に前に進む。

何度も転びながらも、じっとなんてしていられず立ち上がる。

それでも。


「きゃぁっ」


雨でぬかるんだ地面に足を取られて、そのまま坂を転げ落ちていく。

必死に何かに掴まろうとするが、雨で滑って掴めない。

そして、そのまま転がるように坂を滑り落ち、小さな窪みになっている場所でようやく止まった。


「痛っぁ……」


全身を強く打ち付けて、一瞬息も出来なかった。

それでも尚、必死に立ち上がろうとするけど右足に激痛が走ってそのまま蹲った。

その間も、絶え間なく雨は降り続け、何度も雷が鳴り響いて辺りを照らす。
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