クールな御曹司の契約妻になりました
『千裕はよく私を海に連れて行ってくれた。楽しかった』


楽しそうな表情なのに、やっぱりどこか淋し気で悲し気で。

そんな表情を見せるサヤカさんは、少しだけ千裕さんにも似ているような気がした。



二人が本当に想いあっていたことが、痛いほどに伝わってきて、胸が張り裂けそうになる。


どの位、サヤカさんは私に一方的に喋ったのだろう。

『お願い。千裕を幸せにしてあげて』

儚げな表情で小さく笑って、そう言ってサヤカさんはスッと消えた。

サヤカさんが消えた瞬間、一気に鉛のように重たかった身体は軽くなり、意識しなくても身体は動くようになった。



時間を見れば、さっきベッドに入った時間からさほど時間は経っていない。

夢、だったのかな?

そんな考えも一瞬頭を掠めたけれど、まだ部屋に残るサヤカさんの気配を感じて、きっとこれは夢なんかではないと思った。


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