クールな御曹司の契約妻になりました
「海、よく2人で行ってたんだ。懐かしいな。」
キングベッドの端で小さくなりながら仰向けで固まっている私の隣に千裕さんが滑り込むように入ってきて、懐かしそうな声をあげる。
「そうだ。今度、香穂も連れて行ってあげるよ。」
「いえ、私はサヤカさんとの思い出のない場所に行きたいです」
えっ、私なんてこと言ってしまったんだろう。
千裕さんが少しだけ浮かれた声をあげたことに胸がざわついた。
私がこんなこと口走ってしまったのは、間違いなく千裕さんのせい。
「そっか。ごめんな」
苦笑いして謝った千裕さんに、私は「気にしてないです」と、聞こえるか聞こえないかの声でそう言った。
あぁ、これじゃあまるで私がサヤカさんに嫉妬していて、気にしていますよって言ってるようなものじゃない。
私は千裕さんに背を向けるようにして寝たふりをすることにした。