クールな御曹司の契約妻になりました
千裕さんは背を向けていた私が、振り返って少し睨みつけても、平気な顔してる。
私の言いたいことなんて伝わっているはずなのに。
繋いだ手を離そうとはしてくれない。
「このくらい、良いだろう?」
「このくらいって……」
千裕さんの口ぶりに思わず呆れたため息が零れてしまう。
「香穂を不安にさせているのは俺のせいだ。不安を取り除いてあげる方法、今の俺には手を握る位しか出来ないんだ。悔しいけど」
手を繋いでくれたのは、千裕さんなりの優しさ。
そのことに気が付いたら、千裕さんの手の温かさと同じ温度の何かが心の中に流れ込んでくる。
手を繋いでるだけなのに、千裕さんに身体丸ごと包まれているような安心感さえ感じる。