クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂は、俺と萌のことずっと気にしていたのか?」

サヤカさんの声にハッとして、押し黙った私に眉尻を下げた千裕さんが私の顔を覗き込みながらまじまじを見つめてくる。

ち、近い……。
アルコールのせいなのか、少しだけ上気した千裕さんの整った顔が近づいてくる。

バクバクとうるさい位に音を立て始めた胸の鼓動を押さえながら、私は嘘をつくことも出来ずに小さく首を縦に振る。


「そっか……」

やっぱりな、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな呟き。

明らかに落胆の表情を浮かべながら肩を落とす千裕さんがため息交じりに漏らした一言が私の心を一気に冷ます。

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