クールな御曹司の契約妻になりました
鏡越しに二階堂社長の姿を確認した私は、あることに気が付いて言葉を失ってしまった。

嘘!?こんな人、初めて見た。


「初めまして、香穂」

そんな私をよそに二階堂社長は私に近づくと、ずっしりと大きな手を私の両肩にのせて、笑顔を見せる。

気が付けば、今まで控室でメイクをしてくれていたスタイリストや慌ただしく準備をしていたスタッフは空気を読むかのように居なくなっている。


つまり、控室には私と二階堂社長の2人きりというわけだ。


「どうした?そんなに俺の顔を見つめて。俺の顔に何かついているのか?」



ついているって、うん。

ついているのは、憑いているのだけど……。


思わず頷きそうになった私だったけれど、小さく頭を横に振る。


すると、二階堂社長は小さく肩を震わせる。
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