クールな御曹司の契約妻になりました
「初めまして、二階堂社長。橘 香穂です」
二階堂社長が表情を崩したことを気にも留めず、私は緊張で強ばった表情のまま挨拶をする。
「あぁ、よろしく。それから香穂、君は俺のことは千裕と呼ぶように」
柔らかな表情を浮かべたまま、仕事の指示をするように二階堂社長ははっきりとそう言った。
有無を言う余裕すら与えない口調は、さすが二階堂グループという大企業の社長なのだと感心すら覚えてしまう。
「……千裕さん」
流石に10歳も年上の、しかも社長を呼び捨てなんて出来ない!!
そう思いながら、二階堂社長を恐れ多くも名前で呼んでみると、二階堂社長は満足そうに目を細める。
「うん。それでいい。」