クールな御曹司の契約妻になりました
「さて、今の気分は?」


ようやく私から離れた千裕さんは、近くに置いてあるアンティーク調のソファーに腰を下ろした。

頬杖を突いて鏡越しに私に向かって話しかける千裕さんは、余裕たっぷりの笑顔を浮かべている。


「もう、最悪です」

私は眉間に皺を寄せ、ため息交じりに冷たく言い放つ。

すると、千裕さんはわざとらしく肩を竦めてみせる。


「どうして?一気に芸能人にでもなった気分かと思っていたんだが……」

「まさか!?そんなわけあるわけないじゃないですか?!」


自分が白無垢姿だということも忘れ、私は千裕さんの言葉に思わず勢いよく振り返り、声を荒げる。


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