クールな御曹司の契約妻になりました


目を細めて満足そうな表情を鏡越しにぼんやりと見つめてしまった私は、ふと二階堂社長、もとい、千裕さんと視線がかち合う。


それに気が付いた千裕さんが顔を綻ばせて微笑むと、私の耳元で艶やかな低い声で囁く。


「履歴書の写真で見るより、実物の香穂の方が綺麗だ」

不覚にも、胸がキュンと高鳴る。


きっとこんなこと、普通の女の子が千裕さんのようなイケメンに囁かれたら、恋に落ちるに違いない。



だけど、私は落ちない。

ううん。落ちないんじゃない、恋に落ちることができないのだ。


だって、この千裕さんの妻をすることが私の仕事で、恋愛禁止の契約を結んだのだから。


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