クールな御曹司の契約妻になりました
「確か、香穂さんだったわね。これからよろしくね」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
カチン。
萌さんと重ねたグラスは乾いた音を立てた。
「結局、あんたもすぐに遊ばれて捨てられるのよ。だって千裕は本気の恋愛なんかしない」
すれ違いざま萌さんが私の耳元で、信じられない位低い声で囁いた。
えっ?!
驚いた私が振り返ると、萌さんが頬に皮肉な笑いを漂わせている。
「私の千裕と、早く別れてよ」
もう一度耳元で囁いた萌さんの言葉は確実に怒りが込められていて、小さく震えているようにも見える。
別れてって言われても、これは恋愛でもなんでもない契約なのに……
そもそも千裕さんが私に本気になるわけがないじゃない。