好きな人に恋愛相談されました。
 

時間を潰すためにトイレに行き、外に出たときには生徒はまばらになっていた。

ついさっき高梨がいた場所に差し掛かる。

……あー、まじでキツい。

ふたりの姿を思い出せば想像以上にショックで、目線を落としたままため息が出る。

そのとき、前方から「堺!」と聞き慣れた声で名前を呼ばれた。

視線を向けなくてもわかる。高梨だ。


「……高梨」

「会えてよかったぁ。なかなか出てこないから、帰ったかと思っちゃったよ」


高梨は俺に駆け寄り、笑顔を向けてくる。

いつもだったら高梨の笑顔で元気も出るけど、今は無理だった。

なんでまだいるんだよ。なんでこのタイミングで俺に声をかけてくるんだよ。

普段なら遠慮なくそう問いかけたと思うけど、今は心の中で問いかけることしかできない。

 
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