甘い脅迫生活
この2人、全然付き合ってるって雰囲気がしないけど。
楽しそうに話す小竹専務を見る山田さんの無表情は少しだけ、柔らかく、見えなくもない。
でも、それにしても。
「この雰囲気、どうしてくれるんだろうね?」
思わず、苦笑いで優雨にそう言っていた。
私をチラリと見た優雨は、笑みを深めて。
「そうだな。あいつらしさは結構だけど、やりっぱなしは困るな。」
そう言って、いつもの優雨の笑顔を零した。
「ふふっ、」
「ふ、」
豪華絢爛な披露宴。優雨の会社関係の人が列席する中で、私側の参加者はほんの少しだけ。
格差とか、場違いだとか、優雨といるとそういうプレッシャーを感じることもあるだろう。
だけど私は今、この人の隣に座ってて、良かったと思う。
「優雨。」
「ん?」
冷血な絶対的王様。みんなはこの人を恐れて、頭を垂れる。社長モードの時は、有無を言わせない笑顔で人を従わせて、その信念のまま、会社を守っている人。
出逢いは、脅迫。それも突然に。給料制で始まった家事業は、今は自分の意思でしていた。
昔、私に謝るばかりだった少年は、私を守る立派な男性に成長している。