甘い脅迫生活
でもそれをわざわざ言わなくてもよくない?
……いや、なんで私ムッとしてるの?
出逢って2日なのに、もう自分のもの的なことを思っちゃってる?これは、危険だ。
私はどうやら、周りの影響をモロに受けやすい人間らしい。このままいったら、確実に洗脳されてしまう。気を引き締めなければ。
どうせこの関係が一生続くわけがないんだから。
「しかしそれは上辺だけのことです。」
「上辺?」
だけど山田さんは、私に考える隙を与えない。
「どうすれば女性が喜ぶか、好意を持つか。そんなものは、ただのマニュアルにすぎません。そのようなもので釣れるのは、その辺の雑魚だけです。」
「ざ、雑魚?」
助手席に座る山田さんの表情は見えないけれど、なんとなく、黒いオーラを感じる。
「ええ。しかし大物はそうもいきません。ですよね?社長。」
振り返った山田さんは、無表情で社長を見つめる。それを見つめ返す社長は笑顔だけど……
「そうかもな。」
なんとなく2人とも、目が笑っていないんですけど。
「だからこそ必死なんだろう?山田。」
「ええ。」
淡々と話す2人。言葉数は少ないけれど、なんとなく2人とも、全てを理解している上で会話しているように見えた。
秘書と社長って、不思議な関係だな。