甘い脅迫生活
「恐るべし。山田。」
実は、社長はとても優しい人なのかもしれない。だけどなんらかの理由で私と脅してでも結婚しなければならなかった。
その理由がどう考えても浮かばないけど……
きっと困った社長が鬼畜山田に頼んだに違いない。
なのに料理はプロ並みなんて……何者だ、山田。
とりあえず、今日は定時で帰らないと、シュシュの出勤時間に間に合わない。おかきを一口食べて、お茶を飲んで。パソコンに向き合った。
シュシュも、今月まで。色々考えて、副業は辞めることにした。
理由は簡単。別の副業を、山田さんに提案されたからだ。
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『家事など、社長は一切できません。このまま私がすることもできますが、今後のお2人の生活のため、奥様にやっていただく方が良いかと思います。』
社長の再招集にすぐに帰って来た山田さんに切り出されたのは、副業の転職。
『そこで、奥様には家事など、社長の世話をしていただく代わりに、社長は給料を支払う、というのはどうでしょう?』
『え?』
山田さんが、持っていた鞄からファイルを取り出し、私に渡してきた。