バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
『――亜寿佳』
……もう忘れたつもりなのに、折に触れて脳裏に甦る貴明の声。あの表情。
思い出すたびにこの胸がひどく痛んで堪らなくなって、我を忘れて悲鳴を上げそうになる。
今もまたそんな衝動が膨れ上がってきて、私は慌てて心の古傷から目を逸らして、平常心を取り戻そうとした。
しっかりしなきゃ! 私はこれから一生、この仕事に自分の人生を捧げていくって決めたんだから!
「こら、受付係。ボーッとするんじゃない」
自分の過去と行く末に思いを馳せていた私は、誰かに小声で叱責されて現在に引き戻された。