バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 今にもマグマが頭を爆発させる寸前、私はクルリと踵を返して部屋から飛び出し、周囲に音が鳴り響くほど乱暴にドアを閉めた。

 無作法? 知ったことか! 怒鳴りつけることも暴れ出すこともなく、立派に怒りを自制したことを褒めてほしいくらいだ!

 とてもじゃないけど、こんな茶番は耐えられない。一刻も早く、この汚らわしい場所から遠ざかりたい!

「待て、亜寿佳。話はまだ済んでいない」

 前のめりで歩く私の足の動きが、ピタリと止まった。

 息を整え、ゆっくりと振り返り、手の平に爪が食い込むほど強く拳を握りしめながら副社長を睨みつける私の表情は、どれほど鬼気迫っていることだろう。

「……話?」

 いきり立つ感情を懸命に抑えているせいで、唇が強張ってうまく発音できない。

 なんの話があるっていうの?

 よりによってこの私に、貴明と奥さんの結婚式を担当しろなんて無茶苦茶なことを言う以外に、まだ言うことがあるの?
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