バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 私も気を取り直してきちんと副社長と向かい合い、平静な態度で話しかけた。

「大事なご予約のようですから、やはりチーフを呼んできます」

「ありがとう。だが誰が対応したところで結果は変わらないと思う。そういう人だからな」

 そう答えた副社長の表情が曇り、眉間にまた皺が寄る様子を見て、私の心は疑問符で一杯になる。

 どういうことなんだろう? 大事なお客様だと言っていたけれど、この様子じゃあまり歓迎はしていないの?

 かなり厄介なお客様なんだろうか。うーん。そういう面倒なタイプが来るのなら、ここはやっぱりチーフを呼んで……。

「あら、名取さん! お久しぶりね!」

 自動ドアが開く音と同時に、若い女性の大きな声がサロンに飛び込んできた。

 見れば、背中まで届くロングヘアーを大きくカールさせた女性が、男性をひとり伴って颯爽とこちらに歩いてくる。

 膝上の総レースワンピースの真っ赤な薔薇模様がとても華やかで、フリルドレープのロングカーディガンが、これまた豪華。
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