花の名前

3

式を挙げたのは、3月の終わりだった。

 取り壊しを前に家具も備品も全て運び出され、廃屋のようになっていた礼拝堂には、牧師夫人と信者さん達によって、心づくしの花が飾られた。

 用意したのは、指輪のみ。

 カズはリクルートスーツ。
 自分は美幸さんのご厚意のワンピースで。
 参会者のいない、静かな礼拝堂の祭壇に立った。



 この世に“永遠”なんて無いけれど


 これから訪れる様々な“時”の中で
 手を取り合って生きていこう



 死が、2人を別つまで―――








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