颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「バーに行くのにブラウスだけでいいの? ほら、このワンピースなんかキミに似合うと思うけど」


桐生颯悟がトルソーの肩を叩いた。
今まさに私が狙ってたワンピースなんですけど!


「すいません、これを彼女に試着させてください。それからこのワンピースに合う靴とネックレスを。あと寒いといけないので羽織るものも」


え、ええっ?


「そそそそ、颯悟さん?」
「いいから。早くしないとバーが満席になるよ。待ってまで入らないからね、オレ。もう一生、キミはあのバーに……」
「着ます! すぐ着ます!」


*―*―*

人生、初めての体験だ。これから向かうタワマン最上階のバーもだが、10センチのピンヒールもウン十万の服も、本物パールのネックレスも。

それから……男の人と腕を組むのも。

桐生颯悟はあきれてる。29にもなるのにピンヒールで歩けないの?、って。腕を差し出されて、その麻のジャケットにしがみついた。

そんな口の悪さは彼の照れ隠しだと、ようやく私は気付いた。

意外と優しい。なんだかんだ言ってもフェミニストだ。
それは彼が御曹司だから?
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