颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「まあ、悪くないんじゃない? 今夜のキミ」
「あの、その、それって」
「かわいいね。キスしたい」


ぎゅうっと折り込む指に力が入れられて、手を押さえ込まれる。桐生颯悟は悪戯な笑みを浮かべ、容赦なく顔を近づける。キス? 今度こそ本当のキス……?

目をつむるのと唇が重なるのは同時だった。ちゅ、と軽く押し当てられて。逃げようとしても恋人つなぎにした手に身動きが取れない。私が動けないのをいいことに桐生颯悟は何度も何度もキスをして、しまいには私の唇を吸い始めた。

優しいキスに胸がきゅうっと締め付けられる。


ねえ、早百合さんのこと、好きなんでしょ?
どうしてこんなことできるの?

あれ……ん?

このシチュエーション……なんとなく覚えがある。
そうだ、初めて桐生颯悟に出会ったときだ。あのときは確か……。


「ちょ、ちょっと!!」


唇が離れ、私は声の方向に首を向ける。
入口に立っていたのは祐理恵さん。店内にいたお客さんたちも彼女に注目している。

ドンドンと床を踏みならし、私たちの前に来る。
デジャヴですかっ!

ってことは、桐生颯悟はわざとキスしたってこと?
祐理恵さんがやってくることを知っていて?



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