颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
ああ、ビンゴ。祐理恵さんを見てにこにこと愛想よく笑っている。そんなオチだと思ったし。でも言いようのないがっかり感が私を襲う。
「何してるのよ!」
「キス。見てたでしょ」
「どうしてここにいるのよ! この田舎女が」
「デートだから。そうだ祐理恵さん、報告するね。僕たち同棲してるんだ。仙台から異動になったからね。だったら一緒に住もうってことになって」
「い……☆§●※▽■〇×?!」
桐生颯悟は組んだ指にぎゅっと力を入れた。握られて指が悲鳴を上げる。これ、ほんとに痛いんですけど。恋人つなぎにした理由はこれ?
「ね、みのり?」
「え、ええ。颯悟さんと話し合ってそう決めまし、た」
全然違うけど。コロッケの練習なんだけど。業務命令なんですけど。
「まだ決着ついてないじゃない。なのに一緒に住んでるなんてルール違反だわっ」
「まあまあ。みのりのコロッケがおいしくなかったら、さっさと追い出すから、こんなずんだ娘」
「ず……☆§●※▽■〇×?!」だから痛いんですけど!!
「ふんっ! 見てなさい。あんたなんか仙台に追い返すから!」
祐理恵さんは鼻息荒く言い捨てると、踵を返してバーを出て行った。