きっと、君だけ。
たぶん、面白半分なんだろうなとは思う。
都会の人からすれば、陰湿な図書室も、こんな根暗な女子生徒も、きっと珍しいんだろう。
だから試しに一緒にいて、暇つぶしになるか見定めてるんじゃないかな。
早く分かればいい。私がどれほどつまらない人間かってことを。
「ねえ、なんの本読んでるの?」
尋ねられて、スッと今読んでる小説の背表紙を見せた。
無駄に口を聞きたくない。この人とは、必要最低限でしか会話しないでおこうと、たった今そう決めた。
「おもしろいの?それ」
「普通」
「なら、俺と話そうよ」
ニコッと笑って私の顔を覗き込む尾崎くん。
なぜそこへ行き着くのかわからない。
ていうか、あなたと話したくないからわざと本を読んでることに気づいて欲しい。
読書はもちろん好きだけど、私はいつもここでひっそりとひとりでうたた寝をするのも好きなのに。
けど、見ず知らずの転校生がいる中で堂々と眠れるほど、私の警戒心は甘くない。