きっと、君だけ。
「藤咲さんが相手してくれないなら、俺も本でも読もうかな」
本なんてキャラじゃないでしょ、絶対。
心の中でそうつぶやく。
帰ればいいのに、そうしない彼は立ち上がって、おもむろに本棚と本棚の間へと入っていく。
ここには君の好きそうな漫画も、最近映画化した流行りの小説もない。
つまらない資料や本と……つまらない女しかいないのに。
――ガタッ。
私は立ち上がり、彼が消えていった本棚へと向かった。
ミシッと古びた床の音が響く。いつか穴があいてしまうのではないかと思う。
でも私は知っている。こんな床なんかよりも怖い……無造作に並べられた本のことを。
「ねえ……」
彼がいるはずの本棚と本棚の隙間を覗き、何も知らない彼に呼びかけた。
だけど時既に遅し。
彼は自分の背よりも高い位置にある本に手を伸ばしていた。
「あ、ダメ……!」