最恐ドクターの手懐けかた II
入院している間に冬が過ぎ、いつの間にか春になっていた。
桜の蕾が膨らみ、行き交う人々は春の装いをしていた。
遠藤先生と間違いを起こしてから、十ヶ月目に入ろうとしている。
あの時はこんなことになるなんて、思ってもいなかった。
だけど今は、遠藤先生が好きでたまらない。
近くの洋菓子店で、遠藤先生と料理を作ってくれる店長にケーキを買った。
私だって食べたかったが、体重増加が甚だしいため焼き菓子にしておいた。
そして豪華なマンションの前にたどり着いた時……
「奈々」
すっかり忘れていたその声が聞こえたのだ。
恐る恐る振り返る。
するとそこには、前回と同じ紺色のスーツを着た健太が立っていたのだ。