最恐ドクターの手懐けかた II
久しぶりにバルコニーに出た。
真夏の太陽が照りつけるバルコニーは、容赦ない暑さだった。
その暑さの中、
「身体は大丈夫か?」
遠藤先生は私に聞く。
大丈夫かって聞かれても、こんな暑さの中じゃ熱中症で倒れてしまう。
だけど、答えるのも癪で、口を噤んだ。
そんな私を一瞥し、ため息をつく遠藤先生。
ため息が出るのはこっちだって言うのに。
だけど……
「悪かった」
彼は静かに言う。
そのエベレスト級のプライドをへし折って、私に頭を下げたのだ。
「ごめん……奈々」