ホワイトデーにおくるのは。
「完成!」

「よっしゃー!」


出来上がった歓喜に、二人してハイタッチ。

二人で作ったガトーショコラは、今まで見たどんな食べ物よりもおいしそうに見える。

高級食材を使ったわけでもないのに、ものすごく価値を感じる。

二人で一緒に時間と手間をかけて作った。

その事実が俺にとってもプレゼントになった。

甘奈にプレゼントするつもりだったのに、もらってばかりだな。


「さあ、食べるよ!」

「おう」


給食を食べる前の合唱をするときのように二人して手を合わせる。


「「いただきまーす」」


口の中に収まるチョコは、甘奈からもらったものと同じように、チョコの味が広がり、ふんわり柔らかく、クリーミーな味わいだった。

作ってみたからわかる。

薄力小麦粉がふんわりとした柔らかさを演出し、生クリームが濃厚な味わいを奏でている。


「んー。おいしい」


満面の笑顔の甘奈。

口角が上がり、頬が丸くなっている。

今まで見た笑顔の中で最もいい笑顔だった。

もしシミュレーションゲームだったら、この笑顔のために、何度も何度でもやり直して、見ていたくなる顔だった。

写真撮っておけばよかったかな。

目に焼きついたこの笑顔が、せめて記憶の中で薄れないように、セーブしておきたい。

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