ホワイトデーにおくるのは。
「よかったな」

「なによ。おいしいでしょ」

「そうだな」


くすくすと甘奈は口に手の甲を当て、少し控えめに笑み浮かべている。


「ほんと、よかった。作って」

「だな」

「いっぱい作った甲斐があったわ」

「まだ余ってるもんな」

「それのことじゃないわよ」

「え?」


いったいなんのことを言ってるんだ?


「私、実は試行錯誤して何度も作ったのよ。チョコもミルクがいいかとか、ホワイトがいいとか。砂糖だってどのくらい入れようとか、いっそのこと入れなくてもいいかなとか。生クリームも何種類か試してみたわ」


そうだったのか。

だとしたら、お金も相当かかっただろうし、手間もかかったんだろうな。

生クリームは腕がつらいし、レシピの把握なんかも大変だっただろう。


「焼き加減なんて、作り方の説明通りやっても、うまくいかないし、薄力小麦粉はだまになっちゃうしね」


お菓子作りも試行錯誤が色々とあるんだな。

そのおかげで、俺みたいなお荷物がいても、成功できたんだ。


「そこまでよくやったな。なんでだ?」

「あんたねー」


途端に呆れた表情をする甘奈。

ますます訳がわからない。


「好きだからに決まってるでしょ」

「え? あぁ、そうだよな」


なんだよ、もう。言葉にされると、急に照れくさくなるじゃんか。

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