ホワイトデーにおくるのは。
それからしばらくして、バレンタインデーになった。

平日だから、普通に学校に行って、終わりかとのんきに考えていたら、甘奈に呼び出されて、


「はい、チョコ」


と言って、丁寧に、それはもう丁寧に包装してある手作りのガトーショコラをくれた。リボンまで飾り付けされてて、かわいらしかった。


「ありがとう」

「ホワイトデー、ちゃんとお返ししてよね」

「お、おう」


甘奈のかわいさに気圧され、曖昧な返事をした。

帰宅して、家でさっそく食べることにした。

もうすぐ夕飯の時間だというのに、おかまいなしだった。

一口サイズに食べやすくなっていて、見た目も販売されているもののようにきれいだった。

チョコを口に入れると、今まで食べたチョコよりもうまかった。

控えめな甘さで、クリーミーな濃厚さがあり、食感も固すぎず、柔らかすぎず、絶妙なバランスだった。

粉っぽさもなく、全然パサパサしてなかった。


すごいな……。ほんとに手作りか?


完成度が高すぎて、そう思わざるを得なかった。


お返しか……。まぁ、そのうちアイディアが浮かぶだろう。


* * *

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