紅色に染まる



目を覚ますと懐かしい景色。


見たくもねぇこの何も無い部屋。


白い壁には血と傷。


手足に着いた手枷と足枷。


その鎖の先は壁。


異常に重く感じる鎖と足枷。


「…試練ってこれかよ…」


俺は片手で顔を隠した。


こんな部屋見たくねぇしな。


雨の音が響く。


下から聞こえる怒鳴り声。


懐かしいからだろうな。


涙が出てくるよ。


「クソっ…どっかに針金とか落ちてねぇかな…」


まぁそんな都合のいいようなものは落ちてるはずが無い。


またこの時間を繰り返さなきゃならねーのかよ…


クソっ…!


俺は床を軽く蹴る。


前はどうやって脱出したんだっけかな。


確かどっかにナイフが…


あぁ…それもあいつらが置いていったんだったか。


仕方ねぇ…それまでは何も出来ねぇ。


ただ待つことしか…


するとしたから階段を登る音が聞こえる。


ギシギシと…


その音が近づくと俺は身震いを起こす。


この感覚…懐かしい。


懐かしいけど…もう思い出したくねぇよ…


来たのは俺の父さん。


俺は何も言わないでいると頬に痛みが来る。


じんと熱くなり痛みなのかわからなくなる。


口の中には鉄の味が広がる。


それでも容赦なく次は腹部に痛みが来る。
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