浮気の定理-Answer-
あのとき真由と別れて、俺はすべて丸く収まったんだと、また元通りの生活に戻れるんだと、おめでたくも本気でそう思ってた。


妻が先輩に話に行くと言った時はさすがに焦ったけれど、俺と別れたがっていた真由には痛くも痒くもなかったようで……


次の日には先輩から真由が別れることを了承したという内容の電話が自宅に届き、情けなくも俺自身が先輩と話すことは一度もなく、真由との関係は妻と先輩という、第三者によってピリオドを打たれたのだった。


あっけない幕切れに拍子抜けしたものの、妻の気がそれですんだのなら、彼女に任せてよかったんだと自分に言い聞かせた。


長年連れ添いここまで築き上げた家庭を壊すつもりなどもともとなかったわけで、あれは気の迷いだったのだと、これからは妻孝行しなきゃななんて都合よく思っていた。


一時は妻と離婚して真由と一緒になろうとまでしていたとは思えないほどあっさりと。



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