題名のない恋物語



理紗は瞬きを繰り返しながら視線を落とすと、手で顔を覆う。







「……うれしくて死にそう」







こもった声が聞こえる。


お願い理紗、顔を見せて。俺の目を見て。もう一度、好きだと言わせてほしい。







「……理紗」







理紗の顔を覆う手を剥がすと、涙目でこちらを見てから耐えられないとでも言うかのように思い切り目を逸らされた。


俺はその様子に小さく笑う。


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