題名のない恋物語
「いや、ついでも何も金ないって言ってただろ」
「……、そうでした」
会計の時にお金が足りなくて恥をかくところだった。想像して若干体が熱くなりながら席に戻る。ここは大人しく待っていよう。
「何がいい?」
「コーラで!お願いします!」
「ん」
リュックから財布を取り出した涼が去って行く姿を目線で見送ってから、なんとなく店内を見渡す。
時間帯的にやはり高校生が多い。うちの学校の制服を着ている人もいたが、学年が違うのか見覚えのない人だった。
見覚えのある人、特に涼の彼女やその友達なんかに見つかったらまずいだろうな…と考えながらテーブルの上のスマホを手に取る。
溜まっていた友達からのLINEに返信をしていると、涼が戻ってきた。